回転寿司の宣伝を考える。はま寿司の「エコースシチェーン問題」

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 はま寿司に行って、驚きました。

そこには既に、「回る寿司」が無かったからです。上下のレーンが直送になって、完全オーダー制になっていました。以前から、受付をpepper氏が担当しているなどで、なにかと「先を行く」イメージがあったはま寿司ですが、ついにここまで来たんですね。

 今回は、飲食店、ないし回転寿司業界の宣伝について勝手な考察をした上で、完全オーダー制にしたはま寿司に将来起こるかもしれない「エコースシチェーン」問題の予言をします。これは、情報分野で言われるエコーチェンバー問題の理屈を、回らない寿司店に持ち込んだものです。

 

回転寿司の廃棄問題

  そもそも、なぜはま寿司は、回転寿司の要である「回転」をなくしたのでしょう。恐らく、廃棄される商品が勿体無いとか、鮮度が落ちるとか、そのあたりでしょう。

 実際、以前から回転寿司業界において、廃棄率の削減は最重要課題であり、各チェーンごとに独自の対策がなされていました。例えば、以下の引用記事によれば、くら寿司やスシローは、お皿にICチップを埋め込んで、客とか商品の動きをビックデータとして蓄積することで、店舗の流れを予測して商品のレーンに流すタイミングを決めるらしい。(※注1 斜め読み要約)また、かっぱ寿司が近年かなり業績を落としていた一因には、この問題への対応の遅れがあります。(※注2) そのような中で、はま寿司としての取り組みは「寿司を回さない」というものであったのだろうと思います。

※注1:

www.ecmj.co.jp

※注2:

blogos.com

いずれも2019.12.21閲覧。

 

▶完全オーダー制のはま寿司

 さて、回らない寿司屋となったはま寿司でどう商品を選ぶのかと言えば、いつものタッチパネルを操作するのみとなります。注文すると、20秒くらいで寿司が座席の横に滑り込んできました。圧倒的スピード感。そして、ご飯がほんのり温かくておいしかったです。(以前スシローに行ったときは、オーダーを忘れられたあげくネタが凍っていました。)

 しかし、タッチパネルで好きなネタを探しながら思ったのですが....

これ、回転寿司特有のランダム性が死んでる.....

 

 

「エコースシチェーン問題」

 突然ですか、皆さんは「エコーチェンバー問題」をご存知でしょうか。

これは、2016年のアメリカ大統領選を契機に意識されはじめた情報分野の用語で、端的に言えば、「ユーザーが、見たい情報だけを閲覧し、偏った情報のみが選択し続けることで、盲目的になってしまう」ことを言います。

 

見たい情報だけを見て、偏った情報を選択し続ける...。

 

完全オーダー制のはま寿司って、これに似てませんか?

つまり、食べたいメニューのページだけを見て、偏った商品を食べ続けるということです。

 

▶客の実質的な選択肢

 いやいや、それ大抵の飲食店で言えることでしょ。

という声が聞こえてきそうです。確かに、どんなにメニューが充実したお店であっても、同じものしか頼まない人は必ずいるでしょう。

 しかし、です。飲食店において、客の「実質的な」選択肢が減るということは、かなり致命的なように思えます。ここで「実質的」という言葉を使うのは、実際にどんなに多くの商品のレパートリーがあっても、それが客の選択肢に入らなければ売り上げに繋がらないからです。つまり、客の実質的な選択肢とは、客に認知された上で、選んでみてもいいかな、と思わせた商品であって、お店側が用意したメニューではありません。

 客の実質的な選択肢の少ないお店は、きっと続きません。なぜなら、普段買う商品に飽きたらもうお店に行かなくなるからです。そこで、飲食店は、客の実質的な選択肢を増やす必要があります。そのために、メニュー表のでデザインに凝ったり、CMやクーポンなどの宣伝を出したりするのではないでしょうか。これらを手段で、客に未知かつ魅力的な商品を「気付かせる」訳です。マックがダブルチーズバーガーのCM出してる所なんて、見たことないですよね。

 

▶回転寿司における実質的な選択肢

 マグロやサーモンといった定番商品は、恐らくアピールしなくても勝手に選ばれるでしょうから、仮に、これらが売り上げを支える基盤であるとしましょう。客のほぼ全員がこれらはを選ぶとすれば、売り上げの基盤は来客の数だけ伸びます。

 問題は、この先です。定番の以外の商品を、いかに選んでもらうか。実質的な選択肢を、定番の他にどれだけ広げられるか。

  回転寿司における客の実質的な選択肢は、何によって増えるでしょうか。当然、他の飲食店と同様にCMもあるとは思うのですが...、最大の特徴は、何よりも横に商品と宣伝が流れ続けることに他なりません。

 これは私の個人的見解ですが、回転寿司で「牛肉炙り」のような肉系の握りとか、「ツナサラダ」とか「マヨコーン」のような捻りのある軍艦を真っ先に選ぶ人は少数派なはずです。このような商品は、意気込んでオーダーするというよりは、メニューとかレールを見て、存在を思い出して不意に選ぶ、といったようなシチュエーションが多い気がします。

  回転寿司の売り上げは、このような、定番商品以外の商品を、「いかに気付かせるか」にかかっているのではないでしょうか。

 

 ▶完全オーダー制のエコースシチェーン「問題」

 以上のことを踏まえて、完全オーダー制にしたはま寿司を考えると、やや心配ではあります。まず第一に、流れるレーンという最大の情報源が失われているからです。じかに流れる商品、その隣にあるキャッチは、不意打ちで客の食欲を刺激します。これが無くなってしまうと、客が予め念頭に入れていない商品の以外からの売り上げ、つまり、基盤となる売り上げの先を行く部分が減少してしまうのではないでしょうか。

 そうなってくると、第二には、やはりレーン以外の部分ー、例えば座席周辺とか、タッチパネルの内部での宣伝が重要となってきます。しかし、はま寿司はどうでしょうか。

 座席周辺の宣伝は確かに、一部のサイドメニューと高級ネタ、新商品と、定番以外の部分を押さえています。しかし、それはあくまでも一般的なもので、むしろ他チェーンと比べて控えめですらあります。到底、流れるレーンが失われたという損失をカバー出来るものではありません。

 更にタッチパネルですが、これも微妙です。はま寿司のタッチパネルって、反応悪いし、設置高いし、はっきり言って使いずらいです。これは良くありません。タッチパネルを操作する、目的のネタのページを探すだけでひと苦労なのですから、「不意に」定番以外の商品に気付く余裕なんてありません。

 

 こうなってくると、客の実質的な選択肢は減ってしまう可能性があります。定番以外の商品は思い出されることがなくなってゆく....。これは、寿司チェーンとしてかなりまずいのではないでしょうか。売り上げの減少は言うまでもないですが、更に言えば他のチェーンとの差別化が難しくなるからです。マグロやサーモンは、くら寿司でもスシローでもかっぱ寿司でも魚べいでも元気寿司でも銚子丸でも、どこにでもある訳です。

 

 とは言え、はま寿司には、他のチェーンには無い最大の魅力として、「豊富な醤油」があります。私はこれ故に、多くある寿司チェーンの中でもはま寿司が一番好きです。ぜひ、これで更に成長して欲しいと切に願います。

最後に

 書いていたら、思った以上に痛烈な内容になってしまったのですが、私は本当にはま寿司が好きなんです。前に書いた醤油もそうだし、何より他と比べておいしいです。ご飯があったかい。くら寿司とかいつもキンキンに冷えてますし。

 こんな、経営も学んでない高校生が憶測だけで書いたブログなんて何の意味も成さないし、むしろ失礼なレベルだとは思うのですが、とにかく私ははま寿司が好きです。

さようなら。

 

他のユーザー様の、はま寿司の記事です。↓

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